(文/硲勇)
デザインにおいて心がけていることのひとつに、「内から外へ」という考え方がある。
判型やフォーマットなど、先に入れ物を作ってしまうと、その入れ物をどう埋めるか、という考えに陥りがちである。大切なのは中身をどう表現するかなのに、最悪な場合、入れ物を埋めるための中身は何にしようかと考えるという本末転倒なことになってしまう。
極端な話では、本の出版ということを考えていたけれど、中身を表現する場所としては本ではなくウェブの方がふさわしいなんてこともありえると思う。
もちろん道音舎では本というメディアがふさわしいと思ったコンテンツを出版するわけだけれど、中身をまず理解し、コンテンツが最も生きる形(判型や紙、造本方法、グリッド、書体などなど)を探るようにしたいと思っている。
『津軽再考』では、北浦さんのアイデアで写真集+別冊という形をとることになった。柴田さんの「音のない世界」としての写真集。作家として言葉を残し伝えるための別冊。どちらも濃厚なものになりそうだ。