(写真・文/柴田祥)
津軽弁と呼ばれる訛りですが、現地の人間からするとざっくり津軽といっても地域によって訛りの具合や使われる単語が微妙に違ったりと結構細分化されてきます。
これは他の県のどこの地方にもある現象だと思います。
こちらでは物の語尾に「こ」をつける訛りがあります。
(北東北と北海道あたりで聞かれるでしょうか)
本→本っこ、鍵→鍵っこ、写真→写真っこ 等々。
この訛りを知らない地域の人が聞いたら、可愛らしい言いまわしに聞こえると思います。
この「こ」は何時如何なる時でもつけているかというと違いまして。
私が住む中津軽、南津軽の地域で且つ20代後半くらいから60代くらいの層の津軽弁の感覚で書きますと、
どうも「こ」をつけることは少しだけ人にへりくだる時に使用することが多いなと最近気づきました。
寒くてあまり口を開けたくなくて言葉が短くなったという説はありますが、それとは別にしっかりとわかる形でお願いしたくないほどにシャイな気質の人が多いがために、小さなところにニュアンスを出してきたのではと思ってみたり。
例えば・・・
自分から遠いところに鍵が置いてあって、人にその鍵を取ってきてもらいたいのでお願いするとき。
そごの鍵取ってけ。
これに「こ」をつけます。
そごの鍵っこ取ってけ。
写真を撮ってもらいたいとき。(知人に)
写真撮ってけ。
これに「こ」をつけます。
写真っこ撮ってけ。
語尾は命令形ですが、「こ」がつくことによって聞こえ方が柔らかくなります。
これすごくないですか?
「こ」すげー!ってなりますよね!
わかってます。
この違い、あまり伝わらないですね・・・
ものすごく前振りが長くなりましたが、このような僅かなデザインの違いのところで数日頭を悩ませた箇所がありました。
そして考えすぎて訳が分からなくなるという(笑)
観てくれる人がそこまで気にするかと言われると、ほとんどの人は気にしないようなところかもしれないのですが、
この先ずっと残るであろうものを作っているわけでして、妥協して生半可なものは出したくないと思っていますし、
その点では道音舎さんも一冊とじっくり向き合うスタンスを取っておられるので、互いに足掻いた結果を楽しみにしていただければと思います。