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日本ブックデザイン賞2019

2020.01.23 |

ウェブサイトでのご報告が遅くなりましたが、「日本ブックデザイン賞2019」にて、太田徹也賞〈特別賞〉とブックデザイン・パブリッシング部門の銀賞に選ばれました。作品集に掲載されたコメントをこちらでもご紹介させてください。

 寒風吹きすさぶ深雪のなか防寒服に身をかため、今か今かとシャッターチャンスをうかがっている姿勢が眼前にみえる。
 ここに写し撮られている「津軽」の厳冬の冬景色と四季折々の身近な風景は、ただ漠然と美しい絵ハガキのようなものとは趣きがちがう。静止した時間の切り取りでありながら、そこに生きる人々の生活感が漂っている。
 ページをめくると全画面はモノクロームで構成され、ハイキーなものからローキーなものまでまるでムービーを見ているように展開される。画面には雪煙や凪いだあとの情景と人口の造形美が克明に写し出されていた。
 印刷の仕上がりは鮮明で、写真の力を存分に発揮している。繊細な雪の微粒子の表現では、デジタル化とダブルトーンを駆使し、より遠近感のある風景写真に仕上がっている。
 そこには写真家の技術と感覚、そして印刷技術者の共鳴と決断があったと思う。そのマッチングが素晴らしい。
──秋山孝ポスター美術館長岡 発行『日本ブックデザイン賞2019』 16P 太田徹也 審査員コメント より引用

写真集をつくるときは、意匠というよりも、写真の構成はどうするか、作品を活かすためにインクや紙はどうするか、どういう造本が世界観に合うかといった、作家の作品を本という形にどう定着させるかに心を注ぎます。デザイン賞ではありますが、表層的なところではなく中味まで深く読み込んでいただき、サンエムカラーさんと試行錯誤した印刷技術にまで目を凝らしていただいているのが何より嬉しいものでした。


『日本ブックデザイン賞2019 作品集』はこちらから購入いただけます。


受賞作品詳細
『津軽再考』
著者:柴田祥
限定600部
¥6,800(税別)
日本語+英語
282 x 224、112ページ
ISBN 978-4-9909354-1-2
特設ページ